自分たちのサッカーについてよりも大切な事を学びました。坪井健太郎×小澤一郎『サッカーの新しい教科書』トークイベントに参加してきました。
5月24日に発売された『サッカーの新しい教科書』(カンゼン)の出版を記念した
著者:坪井健太郎氏×校正:小澤一郎氏の『サッカーの新しい教科書』出版記念トークイベント@表参道に参加してきました。
こちらをクリック→リアル【#坪井戦術】(W杯での日本、スペインの試合分析)
著者の坪井健太郎さんは、スペインのUE. CORNELLASというチームに所属し、育成年代において小学生年代からユース年代に関わり指導されているかたわらPreSoccerTeamというプロジェクトを設立し、グローバルな日本人サッカー指導者の育成を目的とした「日本人向け指導者留学プログラム」の運営もされている方です。
こちらをクリック→PreSoccerTeam Japan | スペインから世界へサッカーを
今回偶然にもイマイチ調子が上がらないチームであるスペイン代表や日本代表を焦点に、両国の強みや弱みを比較しながら、著書の内容をより分かりやすくしたトークイベントでした。
執筆のエピソードと裏話
エピソードについては、現在所属しているUE. CORNELLASへ入るきっかけやその前に所属していたC.E EUROPAというチームについてのお話でした。
UE. CORNELLASへ入るきっかけは、C.E EUROPA時代の監督がUE. CORNELLASへ移籍したのが縁とのことです。
C.E EUROPAとUE. CORNELLASを比較すると前者がファミリー的なカラーのチームであるのに対して後者はドライな実力主義的カラーのチームのようです。
UE. CORNELLASは、数多くの強豪チームと業務提携をしているようで、スペインでは、ビジャレアル。イングランドではブラックバーン。イタリアではラッツィオと提携し、15歳くらいになるとどんどんビジネスとして移籍させているようです。
現在スペイン代表でFCバルセロナ所属のジョルディ・アルバ選手も、元はUE. CORNELLAS所属の選手です。
これからの有望株として期待されている現在ラッツィオに所属しているバルデ・ケイタ選手も、元はUE. CORNELLAS所属の選手です。
裏話としては、2つありました。
- 1つは、スペインにおける18歳未満の選手の外国人選手締出し策裏事情の話もありました。
要因は、FCバルセロナにいる18歳未満の外国人登録選手が活躍し過ぎてその影響から問題が大きく発展したとの見解が強いとのことでした。
詳しい関連記事はこちらをクリック→えっ!?王者バルセロナがルール違反?来季の移籍全面禁止へ – NAVER まとめ
- もう一つは、有名なFCバルセロナの練習について説明して頂きました。
ロンドというバルセロナのサッカーを体現するボール回しの基本コンセプトで、内容は4対4です。
目的と意図については、以下3点とのことです。
- スペースを均等に埋めているか?
- 味方の動きを見ているか?
- 周辺・遠方・ボール保持者の場所を瞬時に的確に把握しているか?
スペイン育成最前線
日本の育成の課題として、スペインの育成事情との比較でした。
スペインは、6歳から戦術指導が行われており、幅広いレベルで、緊張感があるリーグ戦文化が構築されている。
また、スペイン人と日本人のメンタリティの比較もありました。
スペイン人=表現や主張をする
日本人 =抑える
スペイン人は、小さい頃から習慣としてあたりまえのように選手として表現(主張)してプレーしている環境である。そうしないとチームメイトにもデメリットがあると考えられている。
一方日本人は、主張するよりも相手に合わせた阿吽の呼吸をでプレーする方がチームメイトにもメリットがあると考えられている。
メンタリティについては、どちらが良いか悪いかは一概には、言えないとのことで個性に合わせた指導が大切であるとのお話でした。
それは、例えると全てのサッカー選手がFCバルセロナのサッカーができずすなわちバルサのサッカーはバルサでしかできないと同様なのです。
リアル【#坪井戦術】(W杯での日本、スペインの試合分析)
スペインは予選敗退が決まってしまったので、まだ可能性がある日本代表の分析が多かったです。
日本代表の守備が弱い点について
まず、戦術とは機能しているかどうか?がポイントである。単純な選手の交代策などがうまくいったかどうかの話ではないとのことです。
スペインで育成をしていて日本人に一番欠けていると感じる部分はディフェンスで、トップレベルの選手でもディフェンスの戦術が分かっている選手が少ないとのことでした。
それは、基本であるプレシッングやポジショニングが身についていない選手が多いとのことです。
日本代表で、ドイツブンデスリーガ・マインツ所属の岡崎選手は、欧州でプレーすることでディフェンスの戦術的動きを身につけて成功し活躍できるようになったとの話がありました。
FC東京監督であるイタリア人監督マッシモ フィッカデンティ氏も、主任早々に最初からディフェンスの戦術を指導したと話がありました。
攻撃は、ボールと人との係わりとアイディアが絡むので向上するのに時間がかかるが、守備は人さえ教えれば身につけやすいとのことでした。
日本代表が「自分たちのサッカーができなかった論」について
簡単にいうとサッカーの経験値(戦術メモリー)が足りないとのことでした。
プランAがダメならプランB、Cと修正する能力が強豪チームにあるが、日本代表はそれがなくずっとプランAで戦おうとしていたと。
ギリシャ戦の反省点3つ
- センターバックのポジションが下がり過ぎていた
センターバックが下がり過ぎていた。特にギリシャのボランチが退場になってからは、センターバックのポジションを上げてサイドで3対2の状況をつくり数的優位をだしてフリーな選手をつくりマークを絞らせないことが大切だった
- クロスボールへの改善
相手には分からないけど自分たちには分かる動きの交通整理がされていなかった。
クロスボールにおける選択肢の基本であるニアサイド、ファーサイド、DFのライン間のスペースを意識したクロスボールを出す視野や判断がほとんどなかったと。特に左サイドにおいては。
- 展開力のスピードが欠けていた
ギリシャ戦後のザッケローニ監督のコメントです。
勝たなければいけない試合だった。もっと良くできたはず。ゴール前まで攻めたが、最後の部分でスピードが足りなかった。いつものスピードで戦うことができなかった。コロンビア戦は、第1戦、第2戦と違うプレーをしなければならない
この”スピード”とは何を意味しているのか?
それは単純なフィジカルのスピードでなく展開力のスピードが欠けていた事を意味しているとのことでした。
対コロンビア戦 勝ち点3取る為にやるべきこと
とにかく短い日数でできることは限られるので以下2つを挙げていました。
①めげないメンタル
②選手間の人間関係構築
日本代表・スペイン代表の過去2戦に対するメデイアの反応について
スペイン代表も、日本代表も、過去2戦勝てなかったという事実の影響力は大きいが、自国サッカーに対する印象の受け取り方はかなり違うとのことでした。
べーちゃんはこう思う
ワールドカップはある種4年に1度開催されるサッカーの国際見本市的なイベントです。
ワールドカップ一つ一つの試合結果は、もちろん大切ですが、それだけではないサッカー界のシステムトレンドやそのシステムに対して選手がどう対応しているのかが端的に分かる大会でもあると思います。
ワールドカップをより楽しむために、『サッカーの新しい教科書』は素晴らしいガイドブックです。今また少しずつ読み返しています。
日本の裏側で時差12時間の観戦は、なかなか身体的には厳しいですが、サッカーの祭典をこの本を読みながら観戦してみるのも良いのではないでしょうか?
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